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ロマンノカケラ

あくまでも、ひっそりこっそりヤマトを語る……つもりのブログ。

はじめに…

いらっしゃいませ。
本日は【ロマンノカケラ】にお越しくださいまして有難うございます。

当ブログは宇宙戦艦ヤマト(Part1-復活篇)に関する管理人の思いや、
二次小説が主な話題となっております。
2199、2202について検索等されてお越しいただいた方には大変申し訳ございませんが
そちらに関する話題は、あまり多くはございません。

そのようなブログではございますが、
「構わないよ!」と思っていただけましたら、
どうぞ、ゆっくりと遊んでいってください。

楽しいお話が出来ればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
最新記事はこの記事の下からになります。

さくらいろ 

2017/04/09
Sun. 22:47

皆さま、こんばんは。管理人でございます。

桜、咲いておりますねぇ~
この季節になると桜で何か書きたくなるもので…
短いものですが書いてみました。

種類にもよりますが、「さくらいろ」…と言っても
普段自分が目にする桜は花びら一枚は白くて
この物語で表しているものと現実的には違うのですが
桜の木に咲く、いくつもの花びらたちが重なった姿は
私にこんな色を連想させました。

この先は小話です。
お付き合いいただける方はお進みください。



- さくらいろ -


爽やかな風が吹いていた。
青年は、その爽やかな風に、少し長めの髪をゆらしながら、
傍らで気持ちよさそうに眠る妻に、そっとブランケットをかける。
反対側にはベビーカーに乗った幼い娘が、彼を見て楽しそうに笑っていた。

休日のある日、青年は妻と娘をともなって、桜の花を眺めるために外出した。
車を出し、辿り着いたこの町は、彼が生まれ、少年の頃までを過ごした故郷だった。
それほど遠くない昔、彼の故郷はそれまでのゆたかな緑も、澄んだ空気も、
そしてあたたかな人々も失った。いや、奪われたと言った方がいい。
もちろん、彼の故郷だけがそんな状態だったわけではない。
この星のすべてが、かつての姿を奪われていた。
だから、彼は口にしない。
自分の哀しい少年時代を、あえて人前で口にしようとはしなかった。

きゃっ、きゃっ…と。幼い娘が無邪気な声をあげる。
その娘に、青年は顔を近づけ「しぃ~」と言うと優しく微笑んだ。
娘がおとなしくなると、青年は再びうたた寝をする妻へ視線をおくる。
そっと…眠っている妻に手を伸ばしてみた。
少し乱れたその前髪を指先でかるくととのえる。
出会った頃から変わらぬ妻の愛らしさに、彼は目を細めてその寝顔を見つめていた。

はらり…と。
妻の頬に花びらが舞い降りる。
その花びらを手に取ろうとして、彼はふとあることを思い出した。
それは青年がまだ十代で、妻もまだ十代のふたりが出会った頃…。
その頃に思いを馳せる彼のためなのか。風は今、不思議ととまっていた。

*********************************

青年が十八歳の秋…秋と言っても、当時この星に季節を感じられるものはなかったが、
暦の上では確かに秋であったある日に、彼は恋に落ちた。
そのくすぐったいような恋心を抱えて彼は航海に出たが、
同僚となった恋の相手は、近くにいながらちょっと遠く感じる存在でもあった。
それは、彼女はその容姿のせいか人目をひき、
非番の時はいつも、男女問わず仲間に囲まれていたからだ。
その中には当然、彼女を狙っている者もいた。
彼の目から見れば、自分よりも大人だったり、優しそうだったり、育ちがよさそうだったり…。
それにひきかえ彼は、彼女と衝突することも少なくなく、時に泣かせてしまったこともあった。
どう逆立ちしても、彼女が自分の方をむいてくれることはないだろうと、
彼は告白もしていないうちから諦めていた。
実際、彼女も彼の顔を見るとその表情が強張り、明らかに警戒しているだろうという時期があった。 
そう…そんな時期もあったのである。

しかし、彼はいつからか、彼女のそんな強張った表情を見なくなった気がしていた。
かわりにこの頃の彼の記憶の中にいる彼女は、
恥ずかしそうに、かわいらしく、ほんのり頬を染める表情になっていた。
そう、それはまるで…
故郷の星が失ってしまった、あの桜の花のような、あわい、あわい、優しい色…。
だが、その桜色に染まった頬を見る度に、彼の胸はときめき、鼓動が高まり、やがて絶望する。
二人の関係に進展があるわけではなかった。相変わらず衝突も多い。
言い争えばお互い意地をはって会話がなくなることすらあった。
だから彼は、彼女が頬を染めて見つめる相手は、自分ではないと思っていた。
自分の近くにいる、他の誰かなのだろうと。

「誰のために、頬をそめる?」

自室で一人、そんなことを考える。
考えたところで、どうせ自分のためじゃないと、また絶望する。
しかし、それでも考えずにはいられなかった。
そうして考えれば考えるほど眠れなくなった彼は、ひとり艦内を歩きだすと、
誰もいないはずの食堂にたどりついた。
食堂の奥、片隅…そこにだけ灯りがともっている。
その灯りが照らすものを見て、彼ははっとした。
そうして急に踵を返すと、彼は全速力で艦内を走っていく。

しばらくすると彼は息をきらして食堂へ戻ってきた。
そして再び、灯りが照らすところに近づくと、どこから持ってきたのであろうか、
そこで眠る彼女にブランケットをそっとかけた。
きっとここでひとり、仕事をしていたのであろう。疲れて眠りに落ちている彼女は、
何かいい夢でも見ているのだろうか。その頬がまた桜色にそまっている。
彼の手が、無意識に伸びる。もうすぐ、彼女の桜色の頬に触れるというその時、彼の手は止まった。

(どうせ…俺じゃない。俺じゃ…)

キリリ…と胸が痛む。今まで感じたことのない痛み。
そしてきっと、これから先も感じることはない痛みだと彼は思っていた。
あともう少しで触れることが出来るその手を、彼は力なく、ゆっくりと下げていった。

***************************************

そんな十八の頃の自分を思い出すと青年は可笑しくなった。
あの時、彼は結局彼女の頬どころか、肩にも触れることができず、
しばらくじっと考え込んでいたが、彼女が目を覚ます気配を見せたことで、
あわててその場を後にしたのだった。

(意気地がなかったなぁ、俺…)

彼女は彼のために、その頬を桜色にそめてくれていたのに、
彼はそれを他の誰かのためだと思っていた。
自分の想いが報われることはないと決めつけていたのだ。
報われていたと気づいた時、彼女はそのまぶたをかたく閉じてしまっていた。
もし、あのまま彼女のまぶたが開くことがなければ、その瞳が再び輝くことがなければ、
そしてその頬が再び桜色にそまることがなければ…
そう考えただけで青年は心が凍ってしまいそうな気がする。

ふいに、妻が目を覚ました。
不思議そうに青年を見つめ、そしてその頬が、あわい桜色にそまっていく。
そう、まるで、あの頃のように……。

くすっと、青年が楽しそうに笑う。
そうしてゆっくり手を伸ばし、妻の頬にのった花びらをつまんだ。
それを愛おしそうに見つめると、青年は胸元から小さな手帳を取り出す。
途中のページに、そっとはさみこんだ。
出会った頃と、今日この日の大切な思い出として。

風が…再び優しく吹きはじめる。
枝を離れた花びらたちが、再び風にのって可憐に舞っていた。

まだ戸惑いを隠せないまま起き上がった妻の視線を受けながら、
青年は愛娘をその腕に抱いた。
幼い娘によく見えるようにと、彼は桜の木に近づく。
娘は美しい桜の花に大きな瞳を輝かせ、
それをつかみ取ろうと、青年の腕の中から懸命に手を伸ばしている。
そんな娘の一生懸命な姿を見ながら青年は誓う。

いつか…いつか君にも、その頬を桜色にそめて見つめる人が現れるだろう。
愛し、愛される日がやってくる。それまでは…
 
 “きっと僕が守っていくよ”

その誓いを言葉にすることはなかった。
しかし妻は、青年が娘を抱くその腕に、ほんの少しだけ力をこめた意味を知っている。

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コメント

No title

「その灯りが照らすものを見て、彼ははっとした。そうして急に踵を返すと、彼は全速力で艦内を走っていく。しばらくすると彼は息をきらして食堂へ戻ってきた。」
古代君らしいなと思いました。思うともなく、そうしてあげるのが当たり前というか、自然にやってしまっていた気がします。
婚約して以降の二人も好きなんですが、「1」の古代君と雪のなんともならない二人の関係が好きです (^^)。
言葉癖の悪い、そして、直ぐに飛び出して行く、とても感情的な古代君を演じる富山敬さんの声もそんな古代君の性格をよく表していて、突っかかった物のいい方が、たまりません (^^)。「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリーとはまた、違う感じなのです。流石~

ゆきんこ #- | URL | 2017/04/10 05:39 * edit *

桜の花びら

18歳…思えばこんな多感な時期に一軍人として
地球の運命を担って宇宙を航海してたなんて
すごいことだよなぁ…って改めて思います

それでもちゃんと恋心は芽生える
それもまた18歳なんだよなぁ(//ω//)♥

雪ちゃんはいつから古代くんに恋してたんだろう
いったい何がきっかけで心惹かれていったんだろう

古代くんが鈍いのは当然として(オイ💧)お互いが
お互いに告白めいたことなんて言ってないから
いったいいつからただの同僚が恋人へと発展した
のかいまだに分からず仕舞いです(笑)

頬はおろか…肩にすら触れられなかった古代くん
でも今は優しく頬に落ちた桜の花びらをとって
あげられるんですね🌸🌸🌸
とても自然です…そして凄く優しい❇
このシーンが目に浮かぶようです(//ω//)キュン♥

色んな事があって…悲しい別れもたくさんあって…
いまだに乗り越えられない苦しみや後悔があるん
だろうけど…
桜の舞い散るこの季節…2人は今…いえ3人は
きっと穏やかな幸せの中にいるんでしょうね

春の匂いと風を思わせる素敵な素敵なお話❇
亜矢さんのお話はやっぱりどこか暖かい(*^^*)♥

読んでて優しい気持ちになりました
ありがとうございました🎵

みすず #- | URL | 2017/04/10 20:31 * edit *

Re: No title

ゆきんこさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

>古代君らしいなと思いました。
>思うともなく、そうしてあげるのが当たり前というか、
>自然にやってしまっていた気がします。
ふふふ。頭で考えるより先に体が動くタイプですものね、古代くん。
らしいと言っていただけれ嬉しいです、有難うございます(*^^*)

>婚約して以降の二人も好きなんですが、
>「1」の古代君と雪のなんともならない二人の関係が好きです (^^)。
うん。なんか初々しくて可愛くて愛おしいですよね♪

>言葉癖の悪い、そして、直ぐに飛び出して行く、
>とても感情的な古代君を演じる富山敬さんの声も
>そんな古代君の性格をよく表していて
うんうん、そうですね。やっぱり古代くんの一番の理解者だったかな~

亜矢 #- | URL | 2017/04/10 20:34 * edit *

Re: 桜の花びら

みすずさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

>18歳…思えばこんな多感な時期に一軍人として
>地球の運命を担って宇宙を航海してたなんて
18歳が人類の運命を背負うなんて…
立派だけど重すぎるよね…

>それでもちゃんと恋心は芽生える
>それもまた18歳なんだよなぁ(//ω//)♥
はははっ、それも若さゆえか~

>雪ちゃんはいつから古代くんに恋してたんだろう
>いったい何がきっかけで心惹かれていったんだろう
決してカッコよかったからではなく(おいっ!)
彼のやんちゃな面とはまた違う寂しそうな横顔、
背中にぐっときちゃったんじゃないかなぁ~
ユキだけじゃなくてサーシャもそうだったんじゃないかと
私は勝手に思っているのですけれどね。

>いったいいつからただの同僚が恋人へと発展した
>のかいまだに分からず仕舞いです(笑)
途中から誰がどう見ても恋人同士だったのだろうけれど
自覚なかったのだろうなぁ、あの二人(笑)

>頬はおろか…肩にすら触れられなかった古代くん
意識してないと抱きしめたり出来るのでしょうけれどね、
勢いというか成り行きで、ビーメラ星の時のように。
意識するとダメでしょう、きっと(笑)

>でも今は優しく頬に落ちた桜の花びらをとって
>あげられるんですね🌸🌸🌸
さすがに…もうね♪

>とても自然です…そして凄く優しい❇
>このシーンが目に浮かぶようです(//ω//)キュン♥
そうですか?よかった。
優しい古代くんを書きたかったので…

>桜の舞い散るこの季節…2人は今…いえ3人は
>きっと穏やかな幸せの中にいるんでしょうね
ずっとずっとそんな日が続いてくれればよかったのですが…ね。

>春の匂いと風を思わせる素敵な素敵なお話❇
>亜矢さんのお話はやっぱりどこか暖かい(*^^*)♥
そうですか?そう言っていただけると嬉しいです。
有難うございました!

亜矢 #- | URL | 2017/04/10 20:51 * edit *

やっぱり…

人柄がでますね。
あ、こんばんは。人間が腐っているれおれおですw
「桜」から「桜色の頬」なんて、浮かびませんでしたよ、おばちゃんは(笑)。
やっぱり亜矢さんは優しいなあ~~。
同じ題材を扱うと、その人の個性が出て面白いなと思いました。
私のは無機質すぎるのでちょっと反省。

大好物の「1」の二人の姿も見せてもらって、とても幸せな気持ちになりました。
あの2人がこんな風になる、と思うと感慨深いです。
桜は人を優しい気持ちにしてくれますね。

ありがとうございました。

れおれお #Sm/ug.UM | URL | 2017/04/10 22:34 * edit *

Re: やっぱり…

れおれおさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

>あ、こんばんは。人間が腐っているれおれおですw
何を仰いますらや、もう~。
熟成されているってことじゃありませんか~

>「桜」から「桜色の頬」なんて、浮かびませんでしたよ、おばちゃんは(笑)。
つーか、これしか浮かばなかっただけだけど…(^^;)

>同じ題材を扱うと、その人の個性が出て面白いなと思いました。
>私のは無機質すぎるのでちょっと反省。
いや、そんなことない!可愛かった、ぜったい!

>大好物の「1」の二人の姿も見せてもらって、とても幸せな気持ちになりました。
>あの2人がこんな風になる、と思うと感慨深いです。
出会って、二人で生きてきて…ごく自然にお互いが存在する…
そんなふうになっていくといいなぁという感じです。

>桜は人を優しい気持ちにしてくれますね。
そうですね、キレイな花、かわいい花はたくさんありますが
桜は何かもっと別のものを持っている気がしますね。

>ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました!

亜矢 #- | URL | 2017/04/10 22:54 * edit *

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