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ロマンノカケラ

あくまでも、ひっそりこっそりヤマトを語る……つもりのブログ。

はじめに…

いらっしゃいませ。
本日は【ロマンノカケラ】にお越しくださいまして有難うございます。

当ブログは宇宙戦艦ヤマト(Part1-復活篇)に関する管理人の思いや、
二次小説が主な話題となっております。
2199、2202について検索等されてお越しいただいた方には大変申し訳ございませんが
そちらに関する話題は、あまり多くはございません。

そのようなブログではございますが、
「構わないよ!」と思っていただけましたら、
どうぞ、ゆっくりと遊んでいってください。

楽しいお話が出来ればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
最新記事はこの記事の下からになります。

たった一人のひと 

2017/08/28
Mon. 00:00

皆さま、こんばんは。
本日は久々の小話でございます。

きっと古代くんにとって何の問題もないこと。
もし誰かに指摘されたとしても「それがどうした?」くらいのこと。
でも、ユキにとってはひょっとしたら
不安になってしまうかもしれないこと。

それを古代くんに吹き飛ばしてもらおうというお話です。

お付き合いいただける方は
この先へお進みください。



- たった一人のひと -



パチ、パチ、パチ。
乱暴ではなく、柔らかく響く音。

パチ、パチ、パチ。
男性としてはしなやかで色気のある指先。

艦長室で、各部署から次々にあがってくる報告に目を通し、まとめている古代の指は
止まることなく動いている。多くの人のイメージにはないだろうが、
彼はこういう事務処理が案外できる人だ。作り上げる報告書など見事なものだが、
本人はこうした仕事は決して好きではない。
戦うことも、ヤマト艦長を務めることも古代の本意ではないのに、
性格的に向かないこともやり遂げてしまう力を持っている為に、
期待されてしまうのは皮肉な事実だと、黙々と仕事をする古代を見つめながら、
生活班長の森ユキは考えていた。

ユキは数十分前、お茶の差し入れと業務連絡を行うために艦長室を訪れた。
用事を済ませ艦長室を後にしようとした彼女を、「ちょっと待っていてくれ」と言って
古代が引き止めたことによって今に至っている。

だがユキは何となく、いたたまれない気持ちだった。
古代に指示され、室内の椅子に腰かけて待ってはいるが、
いつまでこうしていればいいのかと、ぼんやりと彼の指先を見つめながら、
うっかり溜息をつきそうになったその時に、

「よし、終了」

そう言って古代は、やれやれといった感じで端末をOFFにし、
ユキの方へ向き直り、お茶を一口飲む。そして、

「待たせてすまなかった」

と、そんなに悪いとは思っていなさそうに詫びた。

「いえ……」

ユキはやや俯きながら力なく答えた。

「ちょっと、心配事があってね」

古代のひと言にユキは、はっと顔をあげる。
めずらしいと思ったのだ。古代はもともと楽観的に物事を考えられる性格ではないので、
心配事があること自体はめずらしくはないが、それをユキに打ち明けることが、
この時期としてはめずらしかった。航海が始まる直前から序盤までは口にすることはあったが、
最近ではさっぱりだったからだ。

太陽の核融合異常増進によって、滅亡まで一年と追い込まれた地球。
ヤマトは移住可能な星を探し続けたものの発見することは出来ぬまま、
探査予定の全ての星の探査を終えた。古代とユキは、この任務を成功させる為に、
互いを想う気持ちを封印する辛い約束をかわしたが、それも実を結ばなかったのだ。
今は途中で出会ったルダ王女をシャルバート星へ送りとどける為だけに、
この宇宙を先へ急いでいる。
いつだって、諦めるような言葉は口にしない古代が、
今回は「滅亡を待つばかり」と覚悟を決めていた。決めていながらも、
何か方法はないか?そう模索してもいることをユキは知っている。
気持ちが落ちつくはずはない。きっとあまり眠れないのだろうとユキは考えた。

「ここのところ、元気のない乗組員がいるね」
「え?」

だが、古代の心配事はユキの想像していたものではなかった。
移住可能な星がないという事実は、全乗組員の希望を奪ったことは確かだ。
しかし見苦しい姿を見せる者はいなかった。だからユキは、
古代に「元気のない乗組員がいる」と言われても実感がわかず首を傾げてしまった。

「どうしたんだろうね、いつになく自信をなくしているようだ」

悩んでいるユキに構わず続けられた古代の言葉に、
ユキはひとりひとり、乗組員の顔を思い浮かべる。

「それが僕の、今一番の心配事なんだよ」

そう言って古代はじっとユキを見つめてきた。

「そう言われましても、誰のことだか……」

はっきり言わない古代にイライラしたのだろうか。ユキはちょっぴり拗ねて言ってみる。
すると彼は……

「生活班長の君が乗組員の異変に気づかないとは、困ったものだな」

すごく真面目な顔をして言った。

むすっ。

ユキの顔が強張る。
知ってるなら教えてくれればいいじゃないか、意地悪だ。
彼女の美しい顔はそう言っていた。

「お言葉ですが、私も人間ですから見落としもあります。
ご存知でしたら教えていただけませんか、艦長?」

自分でも可愛気がないとは思いながらも他に誰もいないせいか、
ユキは自分の言葉を止められなかった。すると古代は、くくくっ……と笑ったあとで

「そうだね、そう出来れば苦労はしないんだが」
「?」
「僕は兄貴と違って昔から内気な性格でね」
「はぁ?」
「島と違って気のきいたことも言えないし」
「知っています」
「揚羽と違って品もない」
「何の関係があるのでしょう?」
「察してくれないか?」
「それは、該当者が誰かをですか?無理です」

いったい何の話をしているのか、ユキは分からなくなってきていた。
自分は真剣に訊いているのに、古代はまるで自分をからかっているみたいで、
会話がかみ合わないと感じていた。

(やっぱり、私では不釣り合いなのかしら)

ユキの心がそんな思いに覆われていく。
ずっと気にするまいと自分自身に言い聞かせていたことが
嫌でも甦ってきてしまっていた。

**************

それは、ルダ王女がヤマトにやってきて数日が過ぎた頃だった。
艦内を歩いていたユキが、立ち話をする乗組員の会話を偶然耳にしてしまっていたのだ。

「すごい美人だよな、ルダ王女」
「ああ、何か神秘的だよな」
「今度は揚羽かなぁ」
「何が?」
「ヤマト関係者って誰かしら異星の美女といい仲になってるらしいぜ。
最初は艦長のお兄さんとイスカンダルの女王、島副長もそんな感じだって」
「だから今度は揚羽?」
「ああ。護衛だからいつも、一緒だしな」
「ふーん。じゃ、艦長は何で生活班長なんだ?」
「さぁ、それは知らないけど」
「周りがそうだと艦長、物足りないんじゃないか?いくら美人でも普通の地球人なんて」
「そうかもなぁ、婚約してるって聞いたけど一緒にいるところはあんまり見ないしなぁ」


***********

ユキは、膝に置いた両手をぎゅっとにぎり、唇をきゅっと噛む。
本当は感じていなかったわけではない。
認められるのが怖くて口に出すことは出来なかったが時々、
古代は自分では物足りないのではないかと不安に思うことはあった。
だが他の者から見てもやはりそうなのかと、ここ数日そんなことばかり考えてしまっている。
だから、元気のない乗組員がいることに気づけなくて、古代に指摘されたのかもしれない。

「申し訳ありません」

ユキは自分の非を認め、古代に詫びた。

「ん?」
「艦長の仰る通りです、乗組員の異変に気づくことが出来ないなんて、
生活班長として失格です」

すると古代は腕組みをして天井を仰ぎ「う~ん」と一声唸ったあと困ったようにユキを見ている。
そして、ひとつ息をつくと今度は真剣な顔で、

「別に、謝る必要はない」
「え?」
「失格だなんて言ってやしないさ。だいたい生活班長が務まる人間なんてそうはいない。
僕から見れば全宇宙を探したって君以外いないと思うくらいだ」

そう言い切った。
まるでユキの存在を肯定するように、とても、とても力強く。

「代わりなんて、いないんだ。同じようにしたって同じではない。
どんなポジションでも、誰にとっても、たった一人の存在があると僕は思う」

今日の古代は、古代の言葉は、ユキにとって謎だらけだった。
何一つ、はっきりとしたことを言わないで、彼女を悩ませる。
そもそもあの会話を耳にしたことで、古代の運命の人は自分ではないかもしれない……
そんな不安で自信をなくしているところに、わからないだらけが続いてさらに自信がなくなっていく。

(あっ……)

ユキは、ついさっき古代が言った言葉を思い出した。
その元気のない乗組員が、「いつになく自信をなくしている」と。
もしかして、もしかして、彼の心配事は……。
それまで見えなかった彼の気持ちが、徐々にユキには見え始めていた。

「私……なの?」

ユキが懸命に絞り出した問いに、古代は少しだけ口元を緩めて彼女を見つめる。
これ以上はないくらいの、すごく、すごくあたたかい眼差しで。

あぁ、そうだったのか……とユキは何もかもを確信した。
古代のことだからユキを心配しながらも、よりによってこんな時にあの約束にしばられて、
こんな不器用な言い方しか出来なかったのだ。
それでもユキなら解ると信じて言ってくれたのだろう。
ユキの視界から、古代の優しさにあふれたその顔がだんだんと霞んでいく。

「僕のたった一人は僕が決める」
「うん……」
「つまらないことで傷つくな」
「うん……」

ユキの涙が溢れて、零れて、止まらない。
泣き止まないユキをとがめることもなく、
それ以上何も言わないで、
古代は彼女を見守っている。
その優しさに少しだけ甘えて
ユキは涙を流し続けた。

もう少し、
もう少しだけ泣いたならば、
そうしたらきっと
安心させてあげられるから。

もう少し、
もう少しだけ。
待っていてくれますよね。

私の、たった一人のひと。


そんな思いを込めて。

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コメント

同じように思った

主要人物がことごとく異星人に魅いられてゆく
事をいつも不思議に思ってました(・・)
守兄さん…島くん…揚羽くん
(何故かイケメンばかり…仕方ないか💧)

同時に古代くんらヤマトの乗組員達の美の評価
基準はかなり高いんじゃないかって(笑)

思ってた事ドーーーンと突きつけられて思わず
ドキッとしました( ̄0 ̄;)

下世話な輩はどの世にもいるもので美女の呼び
声高いユキちゃんでさえ比較されちゃうのか💧

古代くんが艦長と生活班長としての距離をとり
恋人として…婚約者として気遣ってあげる事は
できなくても…やはり放ってはおけない
ユキちゃんが古代くんに愛されてる自信は
やはり古代くんの態度でしか伝わらないです

今回はストレートに言わないまでも十分すぎる
くらい伝わりましたね
不器用だけどあたたかい
そんな古代くんに愛されるユキちゃん
誰よりも大切な…たった1人のひとなんですね

クソーーーッ(><)💦
古代くんの回りくどいやり方が余計に萌える
じゃないかーーーっ
この男いったいどれだけユキちゃんを泣かせる
つもりだ!例え嬉し泣きだとしても罪なやつ

そもそも古代くんは視覚で捉える美しさでは
なく内面の美しさを見てる人だろうからユキ
ちゃんにかなう人なんていないのよね(・・)

あたたかな気持ちになれました
亜矢さん有難うございました(///∇///)






みすず #- | URL | 2017/08/28 00:39 * edit *

うう (^^)。

こんにちはー。いいですねっ o(^o^)o。

不器用なだけに、より一層、そんな古代君の言葉が沁みて来ます。
お話を作るのに私は「3」は、テーマを見つけるのが結構難しいというか、苦手なのですが、
こういう切り取り方があるんだな~と、感激しました。
雪を思い遣れるだなんて、古代君も大人になりましたねーっ o(^o^)o

ゆきんこ #- | URL | 2017/08/28 05:13 * edit *

亜矢様、今回も素敵なお話をどうもありがとうございました。
亜矢様は私がこんなお話を読みたいなぁと思うようなお話をいつも書いてくださるので
感動&感激でございます。
今回もしっかり古代くんは富山さんで、雪ちゃんは麻上さんで
脳内変換させて頂きました(笑)

お忙しいと思いますが、また亜矢様のペースで
お話をお書き頂けたら嬉しいです。

みきこ #- | URL | 2017/08/28 08:26 * edit *

Re: 同じように思った

みすずさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

>主要人物がことごとく異星人に魅いられてゆく事をいつも不思議に思ってました(・・)
まぁ、異星の女神達も普通の女性の感情を持っているということですかね~

>同時に古代くんらヤマトの乗組員達の美の評価
>基準はかなり高いんじゃないかって(笑)
確かに。かなりの美女でないと心が動かなかったりして。

>下世話な輩はどの世にもいるもので
本当はヤマトの乗組員でそういうのを書くのが気がひけたのですが
でも、そういう噂好きとか口が軽いのもいただろうな…と。

>古代くんの回りくどいやり方が余計に萌えるじゃないかーーーっ
>この男いったいどれだけユキちゃんを泣かせる
>つもりだ!例え嬉し泣きだとしても罪なやつ
泣かせるつもりはないんでしょうけれどね、結果的に(^^;

>そもそも古代くんは視覚で捉える美しさでは
>なく内面の美しさを見てる人だろうからユキ
>ちゃんにかなう人なんていないのよね(・・)
見た目がキレイなことはもちろん分かっているでしょうが
そういうことじゃないのですよね、きっと。

>あたたかな気持ちになれました
>亜矢さん有難うございました(///∇///)
こちらこそ、読んでいただいて&感想有難うございました!

亜矢 #- | URL | 2017/08/28 18:10 * edit *

Re: うう (^^)。

ゆきんこさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

>不器用なだけに、より一層、そんな古代君の言葉が沁みて来ます。
あれで結構精一杯言っているのだろうなと書いた私が想像していますが
しみていただけてよかった(*^-^*)

>お話を作るのに私は「3」は、テーマを見つけるのが結構難しいというか、苦手なのですが、
私は比較的「Ⅲ」が書きやすい方でした、難しいのが「2」かなという感じです。
まだ一度も挑戦していないなぁ……

>雪を思い遣れるだなんて、古代君も大人になりましたねーっ o(^o^)o
ま、もうこの頃は大分大人のはずですからねぇ~(笑)


亜矢 #- | URL | 2017/08/28 18:15 * edit *

Re: タイトルなし

みきこさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

>亜矢様は私がこんなお話を読みたいなぁと思うようなお話をいつも書いてくださるので
>感動&感激でございます。
そうなのですか?私自身は読んで下さる皆様がどんなものが好きなのかは
つかめていないと思うのですが、私自身が思う古代くんやユキを書いていて
それがそう言っていただけると嬉しいです。

>今回もしっかり古代くんは富山さんで、雪ちゃんは麻上さんで
>脳内変換させて頂きました(笑)
もったいないお言葉です、お二人の声に合うような古代くんとユキを
書くんはまだまだ力不足ですが、有難いです。

>お忙しいと思いますが、また亜矢様のペースで
>お話をお書き頂けたら嬉しいです。
はい、有難うございます!
のんびり、ゆっくりのペースですが
今後ともよろしくお願いします!

亜矢 #- | URL | 2017/08/28 18:19 * edit *

管理人のみ閲覧できます

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# |  | 2017/08/31 08:27 * edit *

Re: タイトルなし

○○○ーさま
こんばんは。コメントを有難うございます。

楽しんでいただけましたでしょうか?
あのシーンのあの台詞がよみがえったなんて
有難いお言葉です(*´ω`*)

でも、古代くんにとって
ユキは可愛くて、愛おしくてしかたがない存在でしょうから
そんな台詞もあま~く聞こえちゃうでしょうねぇ~

あぁ、いつか自分の小話でも言わせてみたい!

亜矢 #- | URL | 2017/08/31 21:33 * edit *

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