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ロマンノカケラ

あくまでも、ひっそりこっそりヤマトを語る……つもりのブログ。

はじめに…

いらっしゃいませ。
本日は【ロマンノカケラ】にお越しくださいまして有難うございます。

当ブログは宇宙戦艦ヤマト(Part1-復活篇)に関する管理人の思いや、
二次小説が主な話題となっております。
2199、2202について検索等されてお越しいただいた方には大変申し訳ございませんが
そちらに関する話題は、あまり多くはございません。

そのようなブログではございますが、
「構わないよ!」と思っていただけましたら、
どうぞ、ゆっくりと遊んでいってください。

楽しいお話が出来ればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
最新記事はこの記事の下からになります。

梢の空の向こう側に 

2017/11/16
Thu. 23:07

こんばんは。管理人です。
本日は小話です。

part1か2で可愛い二人を書きたかったのですが
急に違うものが浮かんできて、予定外のものが出来上がりました。


あなたがもし、
高速連絡艇に乗ることが出来なかった森ユキだったら
帰還した古代くんにどんな言葉をかけますか?

私には、とてもこんなことは言えないけれど
きっとユキなら、こう言って笑ってくれるような気がしました。


このお話は2014年の11月に書いた【梢の空】の続編になっています。
ということで今回の小話単独では少々唐突な箇所もあるかと思いますが
どうぞ、お許しください。
これを機会に【梢の空】を修正しようかと思いました。
いやぁ、あまりに恥ずかしい出来でしたので(^^;
でも現時点では出来ておりません。
その内、気力・体力がある時に試みるかもしれません。

それでは、お付き合いいただける方は
この先へお進みください。



- 梢の空の向こう側に -


司令部近くにある公園を、古代とユキは手をつないで歩いている。
日中ではあるが時間が中途半端な為か、
それとも寒さが厳しくなってきたからなのか、彼らの他に人影は見えなかった。

二人の表情は、まるで付き合い始めた頃のように初々しい。
先の戦いで離れ離れになりながら、互いへの想いが揺らぐことはなかった二人だが、
その心には深く大きな傷を負うことになった。
そしてその傷が二人に真正面から向き合うことを躊躇させ、
それはやがて気づかぬ内に互いの心に新しい傷を負わせることになった。
だが、過ぎ行く日々と時間が、二人にそれを気づかせてくれたようだ。
今は、寄り添うことがなぜだかとても新鮮で、少しばかり恥ずかしい。
そんな思いが、二人の表情を幼くさせている。

「寒くない?」

古代がユキを気づかう。

「ううん、大丈夫」

ユキが古代に顔を向けて答えた。

この日は二人とも休日だった。
古代の帰還後、あまり外出しようとしなかったユキが
「たまには出かけてみない?」と言い出し、古代もユキの言葉に頷いた。
だが古代は、仕事が押していた為に一度司令部に赴き、
その後ユキと落ち合ったのだ。

「ユキ、どこに行きたい?」

外に出ることにしたものの、行き先は決めていなかった。
ユキの行きたいところに行こうと思った古代は、彼女にたずねてみる。
だがユキは、

「帰りましょ」

と言い出した。

「えっ!?」

思いもしなかった答えに、古代の足は止まる。
呆然とユキの顔を見つめていた。
出かけようと言っておきながら、
会って間もなく「帰る」と言い出したユキに対して戸惑いが隠せない。

「帰るってどうして?どこか行きたいところがあったんだろう?」
「ううん」
「あっ、ユキ!」

ふいに……
ユキがつないでいた手を離して、古代の前をふわりと一人で歩き出した。
その瞬間、古代の脳裏にあの夜の光景が、
その手に、すり抜けていくユキの手の感覚がよみがえる。
息が止まるのではないかと思うほど苦しい。
古代は、ユキが手のとどかぬところに行ってしまうような恐怖に襲われていた。

「ユキッ、行くな!」

古代が走り出す。
まださほどでもないユキとの距離を、一瞬でないものにするほどに
速く、ただひたすらに速く。

「えっ?」

古代の声に驚いて振り返るユキ。次の瞬間、ユキは古代の腕の中にいた。

「古代くん?」
「行くな。ここにいろって言っただろ」

ぎゅっと……
古代の腕がユキの身体をしめつける。
まるで、もうどこにもやらないと言うように、
強く、激しく、切なく。
自分を抱く古代の腕に、彼のいいようのない哀しみと不安を感じ取ったユキは、
彼の背に腕をまわすと、そっといたわるように抱き返した。

「ごめんなさい」

古代は何も答えない。

「出かけたいって言ったのは私なのに…勝手なことを言って」
「そんなこと、どうでもいい」
「でも……」
「いいんだ……」

風に吹かれた枯葉が力なく舞う中で、
二人は互いがいなくなる不安をうち消すように、
抱きしめる腕に、指先に力をこめた。



やがて落ち着きを取り戻した古代は、ユキをその腕の中から解放する。
だがそれでも、彼女の手をにぎって決して離そうとはしない。
ユキがぽつりと言う。

「本当は行きたいところなんて、なかったの」
「えっ?」
「最近、仕事以外で外に出ていなかったから。
だから……たまには古代くんと二人で歩いてみたいって思っただけ……」
「ユキ……」

暗黒星団帝国との戦いは、二人の心に今までとは違う影を落とした。
戦うことの虚しさと哀しさに加え、自らにむけられる愛に決して応えられない苦しさ。
それを互いに味わっただけでも心は深く傷ついているのに、
何も事情を知らない者たちが、面白おかしく囁く声に、
古代はユキが、ユキは古代がさらに傷つけられる理不尽さを感じていた。
敵との戦いは終わっても、
二人は未だに自分たちにむけられる形ない刃と戦い、傷ついていたのだ。
ユキは外出をしたくなかったわけではない。出来なかったのだろう。
外に出て、再び傷つけられることを恐れ、怯え、
その身と一緒に心までも閉じこもってしまっていたのだ。
そして古代も、もがき苦しみ、いつしか立ち止まってしまっていた。
一緒にいるのに、あれほど願っていたのに、お互いが遠かった。
そんな状態から、何とか抜け出そうという懸命な思いで、
ユキは外に出ることを決意したのに違いない。
ユキの思いを察した古代は堪らなくなった。

「ごめん……」

にぎったユキの手をじっと見つめて、古代は絞り出すような声で言う。

「僕がもっとちゃんとしていれば、君を一人にすることはなかったのに。
置いて行ったりしなければ、ちゃんと守っていれば……
なのに、僕は君を見捨ててしまったっ!!」

ユキの心からの笑顔を奪ったのは自分だ。
古代は、自分自身の不甲斐なさに怒りさえわいてくるようだった。
だが……

「違うわ」

ユキが穏やかに言う。

「古代くんは何も悪くない」
「ユキ、そんなことは……」

古代は思わず顔をあげてユキを見る。
そこには、深い深い優しさを湛えながら真剣に古代を見つめるユキの瞳があった。

「だって、いつもと同じだもの」
「えっ?」
「私、いつも古代くんを送り出してるじゃない。あの時も同じよ。
あなたは私を置いて行ったのではない。見捨てたのでもない。
私があなたを送り出したのよ。ねっ、いつもと同じでしょ?」
「……」
「だから、ちゃんと私のところに帰ってきてくれた。そうでしょ?」
「ユキ……」

言葉に出来ない言葉が、古代の胸にあふれてくる。
そして、その瞳にも。


『あの日のことを。
君を連れて行けなかったあの日のことを
君はいつもと変わりないと言ってくれるのか。
君を置き去りにしてしまった僕の罪など
なかったものだと言って許してくれるのか。

なんて、
君はなんて強い人なのか。
僕はどうすれば
君のこんなにも深い想いに
応えることができるのだろう』

古代の心はそう訴えているのに、それを言葉にすることが出来ない。
今にも泣きだしそうな顔になってしまった古代の両頬に、ユキは両手で触れると

「やぁね、泣き虫さん」

と言ってきらきらと輝く笑顔を見せた。
その笑顔に、言い表せない喜びを感じた古代も、
涙を堪えながら笑い返す。

古代が待ち望んだユキの笑顔。
それが今、彼の目の前にある。

たとえこの先も
その心を傷つけるものが待ち受けていたとしても
二人はもう、決して負けはしないだろう。

この星にも
そして二人にも
あたたかい春が訪れた時、
きっと一緒に飛び立てる。

一度は失ってしまった互いの笑顔を
今、こうして取り戻したのだから。

(兄さん、俺はユキと一緒に飛び続けるよ)

古代はもう一度、兄に語りかけた。
見上げる空にまだ色はない。

だが……

梢の空のその向こう側に
確かにある、果てしなく広く大きな宇宙。
その思いを解放させてくれる限りなく厳しくて優しい空間へ
もう二度と離すまいと誓ったユキの手をとり、
飛び立つその日の訪れを
古代は今、静かに待っている。

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