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ロマンノカケラ

あくまでも、ひっそりこっそりヤマトを語る……つもりのブログ。

はじめに…

いらっしゃいませ。
本日は【ロマンノカケラ】にお越しくださいまして有難うございます。

当ブログは宇宙戦艦ヤマト(Part1-復活篇)に関する管理人の思いや、
二次小説が主な話題となっております。
2199、2202について検索等されてお越しいただいた方には大変申し訳ございませんが
そちらに関する話題は、あまり多くはございません。

そのようなブログではございますが、
「構わないよ!」と思っていただけましたら、
どうぞ、ゆっくりと遊んでいってください。

楽しいお話が出来ればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
最新記事はこの記事の下からになります。

ふるさとの空 

2018/08/16
Thu. 00:00

ロマンノカケラ、再開後初の小話です。
ガトランティスとの戦いの後~新たなる旅立ちの辺りを想定。
二人がどのように「結婚」という形ではなく「一緒にいる」ことを選択したのか。
短いお話ですが、その中に私なりにこめたつもりです。

ちょっと苦手分野なのですけれどね、挑戦してみました💦

このお話は某CMソングを聴いていて思い浮かんだものです。
再開したロマンノカケラは私の新たなふるさとです。
きっとこの頃の古代くんも大事な、新たなふるさとを見つけたと思うので、
そんなことを色々重ねて考えてみました。

拙い話ではございますが、お付き合いいただける方は
この先へお進みください。




- ふるさとの空 -


夕陽に照らされる連邦中央病院。
正面玄関を出た古代進は、大きく深呼吸をすると夕空を見上げた。
茜色に染まった空。爽やかな風と空気が心地よく、すべてが穏やかだった。

あの冷酷で恐ろしいガトランティスが襲ってきた日から、まだ一ヶ月も過ぎていない。
あの恐怖は、まるで夢だったのではないかと思うほどに、
人々は何事もなかったかのように日々を過ごしている。
だがそれは、あの日のことを忘れたというわけではなかった。
心に深い傷を負いながらも、それでも人々は前向きに、ひたむきに生きているのだ。
人間とは逞しい。古代は今、そう感じていた。

ゆっくり、ゆっくり、歩き始める。病院を出た古代はそのまま自宅を目指した。
本来ならエアトレインを利用するところだが、今日の古代は歩きたかった。
この茜色の空が彼にそうさせるのかもしれない。
しばらく歩いたところで、古代はふと立ち止まると

「ユキに知られたら、大目玉だな」

と呟き、くくくっ…と楽しそうに笑う。
きっと仁王立ちになって怒るに違いないユキの姿を想像した。

「おっかねぇよなぁ~」

そう言った後で、古代はすぐに優しい瞳になる。

「でも、かわいいんだよなぁ」

人前でどころか、本人にすら言ったこともないことを口にして、
幸せそうに微笑むと古代は再び歩き始めた。


古代が中央病院に赴いた目的は、仲間の見舞いと自身の怪我の治療だった。
あのガトランティスとの戦いで、多くの乗組員の命が失われ、
生き残った古代も仲間たちも、そのほとんどが負傷していた。
彼らに比べれば自分で動ける分、古代の怪我の方が軽傷ではあったが、本当に軽傷なわけではない。
実は入院した方が治りは早いだろう。だが、時は彼にそれを許さなかった。
戦後の処理の他に命令違反での発進と、政府が決定した降伏を覆させたことへの尋問。
それらに対する処罰は寛大なものであったが、何もお咎めがなかったわけではない。
肉体的にも精神的にも疲労を重ねていた。それに加えテスト航海を控えたヤマトを、
再び艦長代理として任されたことによる準備等で日々追われていたからだ。

そんな状態の古代を見て、婚約者の森ユキは心をいためていた。
無理をしてほしくないとユキが願っていることを古代は知っている。
だから歩いて帰ってきたことを知れば、きっと怒るだろう。
でも最後はきっと理解して、許してくれる。
歩きたいと思ったこの気持ちを、ユキなら分かってくれると古代は思っていた。
ユキは、誰よりも自分を理解してくれるひと。
その心はいつでも自分に寄り添ってくれていることを、古代は知っていたから。
古代の胸には、ユキを生涯ただ一人のひとと改めて心に決めたあの日の思いがよみがえる。
こんな、夕陽が美しい日だった。


***************************


ガトランティスとの戦いから帰還して一週間ほど過ぎた頃、
古代は自宅のベランダから夕陽に染まる空と、流れゆく雲を眺めていた。
言葉もなく、ぼんやりと……。
その背後から、ユキが近づきそっと並んだ。

二人の間に言葉はない。

互いの気配を感じながら視界にその姿を入れることはなく、
ただじっと、目の前に広がる空を見つめていた。

「あのさ…」
「あのね…」

沈黙に耐えられなくなって、同時に声をかける。
だが、それが再び沈黙を生む。

言わなければならない。
たとえユキが涙を流したとしても、たとえ“さよなら”を告げられたとしても、
古代には言わなければならないことがあった。古代はユキに顔を向けると口を開いた。

「これからのことなんだけど…」

ユキはまるで予想していたかのように落ち着いていて、真っ直ぐに古代を見つめて頷く。

「うん」

そんなユキに古代の緊張は高まり鼓動は早まる。やっとの思いで一言だけ口にした。

「僕を待っていてもらえるか?」と。

するとユキは穏やかに微笑んで

「うん」

と答えた。
しかし、このユキの反応に古代は狼狽えた。想像していた反応ではなかったからだ。
もっと、責められるかと思った。責められて当然だと。
だがユキは…何もかもを察している。
“待つ”ということがどういう意味なのかをしっかりと理解している。
きっとユキは最初から分かっていたのだ。自分が何を告げようとしているのか…
古代にはそうとしか思えなかった。

「いいのかい?」

古代がそう問えばユキはキョトンとして、

「何が?」

と、問い返す。

「待っていてって何のことか分かってるんだろ?」
「うん」
「そんなに簡単に受け入れられるのか?」
「拒否してほしいの?」
「そんなこと、きいてないっ!!︎」

古代はたまらず、大きな声をあげた。
受け入れてほしいと思いながらも、それは虫の良すぎる話だと思っていた。
だから“さよなら”を告げられることを覚悟して言ったのだ。
ユキを失えば、もう愛し愛される日々は自分には永遠に訪れないことを知りながら。
それなのにユキはあっさりと、あまりにあっさりと受け入れたのだ。

「やぁね、古代くんたら」

大声をあげた古代に、ユキはクスクスと笑いながら、

「当たり前のことじゃない」

と続ける。だがその目はいつの間にか真剣なものになっていた。

「今の私たちに、結婚が出来ると思う?」
「えっ……?」
「古代くんだけじゃないわ」

そう言うとユキはそっと…古代の胸に顔をうずめる。

「私も同じよ」
「同じ……?」
「待っていて欲しいのは、私も同じだから」
「ユキ……」

古代は戸惑いながらもユキの背中に腕をまわし、静かに、こわさぬように抱きしめた。
ユキも、自分と同じことを感じている。結婚を望んでいないわけではない。
互いにこれからの人生を、ともに歩む相手は他にいないと思っている。
だが今は…自分たちの将来を思い描くことが出来ないのだ。
あまりにも辛く、苦しく、凄絶な戦いの記憶が、幸せな未来を思い描くことを拒んでいる。
「結婚」という形を選ぶには、自分たちはまだあまりに幼いことを自覚していた。
今はただ、寄り添うだけで精一杯だったのだ。

どれほどの間、そうしていただろうか。
実際にはさほど長い時間でもない。
だが二人には、時が止まったように永遠に思えた。

「約束してね」

古代の腕の中で、顔をあげることなくユキが言う。

「んっ?」

古代はユキの顔をのぞき込んだ。

「どこにも行かないって」
「ユキ?」
「ずっと一緒だって。それだけでいいの」

ようやく顔をあげ、古代を見つめるユキの瞳が、溢れそうになる不安に健気に耐えながら揺れている。
そのユキの瞳を見つめ返し、古代は頷いた。力強く、はっきりと。
古代の、言葉ではない答えにユキは安堵したように微笑んだ。


********************


あの日…
自分の我儘を全て受け入れ、同じ気持ちだと言ってくれたユキ。
古代はそれを決して嘘ではないと思う。だが同時に望んでいたわけでもないだろうとも思う。
結婚を心待ちにしていた彼女が見せた、自分に対する深い理解と愛情。
いつか、いつかきっと。
あの日のユキの限りない理解と愛情に必ず応える自分になろうと古代は誓う。

気がつけば、自宅マンションの前まで来ていた。
自分の部屋を見ると、灯りがついている。
あの日から、もう決して離れまいと、ともに暮らすようになった二人。
ユキが、あの部屋で自分の帰りを待ってくれているのだ。
そう思うと、古代の頬は自然に緩んだ。
歩いてきた道を振り返り、そしてもう一度空を見上げてみる。
わずか二年ほど前、ガミラスによって死の淵へ追い込まれていたこの地球。
かつての姿を取り戻したならば、自分は生まれ育った三浦に帰るのだろうかと、
古代は考えたことがあった。だが、そうはならなかった。
今、古代の目に映る夕空は、生まれ育った三浦の夕空とは違って見える。
三浦の夕空の方がもっともっと鮮やかありながら、柔らかかったように思えた。
都会の空には感じられない鮮やかさと柔らかさだった気がしていたのだ。

でも、それでも。

ユキと暮らすこの街の、この空も、
これからの自分の“ふるさとの空”になるのだ。

ユキがいてくれる。

それだけで、この空が愛おしく思える。
それだけで、この空が美しく見える。

ユキがいてくれる。

それだけで、生きていこうと思える古代がいた。

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コメント

お帰りなさ~い❤️

亜矢さん、ブログ再開お待ちしておりました!
そして今回も本当に素敵なお話をどうもありがとうございました。

古代くんが結婚を延期にしたい気持ちが手に取るようにわかり、
そんな古代くんの気持ちに寄り添う雪ちゃんの深い愛をすごく感じました。
読み終わったあと心がほっこりいたしました。

お盆休み関係なく仕事で、くたくたな日々に
素敵な安らぎを頂き感謝しております。

また素敵なお話で私に元気を下さい!!
よろしくお願いいたします。

みきこ #YlmcuPv2 | URL | 2018/08/16 07:59 * edit *

Re: お帰りなさ~い❤️

みきこさま
こんばんは。コメントを有難うございます!
ただいま、戻りました~!

>亜矢さん、ブログ再開お待ちしておりました!
待ってくださっていたなんて…ありがたい~(涙)

>そして今回も本当に素敵なお話をどうもありがとうございました。
こちらこそ、読んでくださって有難うございます!

>古代くんが結婚を延期にしたい気持ちが手に取るようにわかり、
>そんな古代くんの気持ちに寄り添う雪ちゃんの深い愛をすごく感じました。
二人の間には、どれくらいなんて言えないくらい、
互いへの深い深い理解があると思ってます。
それが少しでも表現出来ていたらいいな…と思っています。

>読み終わったあと心がほっこりいたしました。
>お盆休み関係なく仕事で、くたくたな日々に
>素敵な安らぎを頂き感謝しております。
そう言っていただけて私もほっこりです(*^^*)

>また素敵なお話で私に元気を下さい!!
>よろしくお願いいたします。
こちらこそ、今後もどうぞよろしくお願いします!


亜矢 #- | URL | 2018/08/16 21:21 * edit *

ストン(///ω///)♥️

昔はね…古代くんと雪が結婚取り止めた事を「何でわざわざ取り止めちゃうのさ?」って思ってたの

でもやっぱりあんな戦いの後でそう思うのは無理ないのかな?って自然と思う様になってました

寄り添っているだけで精一杯
ただ一緒にいたい…

より切実な2人の想いが伝わってきますね

離れたくないくせに…愛想つかされる事も覚悟して話を切り出す古代くん
ユキちゃんが受け入れてくれたのに詰め寄ってしまう古代くん

悲しませている事も苦しませてしまうだろう事も分かってるからこそなのかな…
そしてそんな決断をした自分の事も責めてますよねきっと…

ああ…古代くんてこんな人
ユキちゃんもきっとこんな人

ストンと胸に落ちてきました(///ω///)

ユキちゃんのいる場所がふるさと
ふるさとがあるから帰れる古代くん

切なくて…それでも深い愛情を感じるお話でした

くすん(´ノω;`)♥️
ありがと亜矢さん


みすず #- | URL | 2018/08/17 06:12 * edit *

Re: ストン(///ω///)♥️

みすずさま
こんばんは。
コメントを有難うございます。

>やっぱりあんな戦いの後でそう思うのは無理ないのかな?って自然と思う様になってました
なかなか、そんな気持ちにはなれないでしょうね、きっと。
ただそれをどう言ってもらうかが難しいですね。

>寄り添っているだけで精一杯
>ただ一緒にいたい…
>より切実な2人の想いが伝わってきますね
有難うございます。そう言っていただけて書いた者としては嬉しいです。

>離れたくないくせに…愛想つかされる事も覚悟して話を切り出す古代くん
>ユキちゃんが受け入れてくれたのに詰め寄ってしまう古代くん
きっと本人も自覚があるのではないかと思うのですが、
頭で考えるのと心は違うから葛藤もあるし、矛盾も生まれるのではないでしょうかね。


>ああ…古代くんてこんな人
>ユキちゃんもきっとこんな人
>ストンと胸に落ちてきました(///ω///)
あくまでも、私の思い描く二人でしかありませんが
それが伝わったとしたら嬉しいです。

>ユキちゃんのいる場所がふるさと
>ふるさとがあるから帰れる古代くん
そうです、そうなんですよ~、きっと!!!


>くすん(´ノω;`)♥️
>ありがと亜矢さん
こちらこそ、読んでくださって、有難うございます!

亜矢 #- | URL | 2018/08/17 21:17 * edit *

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